学びの種や気付き、技術などを伝えるのがレッスンですが、なにも「先生から生徒へ」一方通行的に済ませることだけが全てではありません。寧ろぼくは、生徒の皆さんからたくさんの学びや気付きを頂いています。(もちろん、生徒の皆さんの自主的・意欲的な姿勢が一番の上達の近道ですよ👍)
例えば、ピアノ経験者であるぼくが「こうするんだよ」と伝えたことがうまく伝わらないことがあったとします。それは決して生徒側の問題ではなく、先生側の「伝え方の問題」だと思うのです。
ピアノ経験者にとって当たり前のルールや語彙は、生徒のみなさんにとっては初めてのことであり、あまり馴染みのない習慣です。それをどう伝えるか、そこに気付きの種があります。
「どう伝えればうまく伝わるか」を考えていくと、「こうすればいいかも!」と感じる時もあれば、「どうやってもうまく伝えることができない」と感じる時もあります。自分の語彙の少なさ、引き出しの少なさに悲しくなる時もありますが、そういう時には必ずと言っていいほど、ぼくがまだピアノをきちんと弾きこなせなかった頃の記憶が蘇ります。
「そんなこと言ったって、できない」
「そもそもどういう風にやるのかわからない」
「何がわからないのかわからない」 …
こういう時は大抵「言われていることの意味がわからない」状態でがんじがらめになり、前にも後ろにも動けない状態だったなと思います。(ぼくの場合は、ですよ。笑)
とても辛かったのを覚えています。だからこそ、当時のぼくが欲しかった言葉は「(うまく弾けないのは)あなただけじゃないよ」という共感だったり、「こういう弾き方をすると身体はこんな風な動きになるよ」とか「こういう弾き方をすると腕のこの辺りがもぞもぞするよ」とかいう具体的な動かし方や、その結果感じる身体の変化だったりするのです。
その記憶を思い出させてもらうたびに、「一緒に学ぶ」「一緒に新しいことを発見していく」気持ちで、ひとりひとりに寄り添い、向き合うことの大切さを痛感します。
それが、指導のテクニックや語彙の引き出し、様々な角度からのアプローチなどを考えるきっかけになっています。
レッスンは先生から生徒へ一方通行的に行なうものではなく、双方向的にお互いの気持ちを伝え合い、歩み寄りながら模索していく。これがお互いにとって気持ちよく、お互いが成長しあえる関係ではないでしょうか。
日頃さまざまな気付きを与えてくれる生徒の皆様とその熱意に感謝しながら、ぼくも負けずに、ピアノと向き合いたいと思う今日この頃です。
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